Tetsu Ikuzawa’s Birthday Style 2020 and BMW

2020年も、もう僅か。クリスマス前に「アタシの」今年の話題を一つ。

8月21日は、アタシの誕生日でした。
その日は東京の自宅に居ました。

朝起きて書斎に行くとデスクの上に、これが置いてありました。

バースデー・カード、そして何故か BMW のキー、中古車屋さんの店頭での BMW 130 の写真、そのクルマの当時のカタログも?!

アタシ達夫婦はコロナ対策で、東京の自宅、厚木アトリエ、御殿場ワークショップ、この3箇所のどこかに籠もって1月から人との接触を一切断っています。ソシアル・ディスタンスどころかソシアルそのものを、この1年間全くしていません!3箇所間の移動は13年落ちのマツダ・アクセラか、7年落ちのホンダ・ステップ・ワゴンです。

10年前、アタシ達はモナコに住んでいました。その時乗っていたクルマは、 BMW 130 。今でも、あのクルマの素晴らしさが忘れられません。売らなければよかったと後悔していました。コロナで籠もっていてヒマなので、毎日毎日、同じタイプの BMW 130 がないかと探していました。でも、同じ仕様のが、ありません。アルピン・ホワイト、サンルーフ無し、オートマ、改造なし、走行距離まあまあ、程度まあまあで探すと、値段以前に出物は全く有りません。

それを横目でチラチラ盗み見していた奥さんが、コロナ感染拡大で大騒ぎしていた愛知県の中古車屋さんで、モナコで乗っていたのと全く同じ仕様の BMW 130 を見つけて、アタシに内緒で、なんと買っていたのです! デスクの上に置いてあったのは、その BMW のキーと、そのクルマの写真でした。 誕生日のサプライズ・プレゼント! それにしても、よくぞこんな素晴らしいコンディションのを見つけました。走行距離、僅か 28,000km!

今年 2020年で、アタシ78歳になりました。アクセルとブレーキの踏み間違い、高速道路の逆走「まだ」 していません! まだです! でも、もういつ自分がやってもおかしくない年齢になりました。 いつまで自分でステアリングを握ってのドライビングが楽しめるのかは、もはや分かりません。ただ、もう暫くは、この BMW 130 をドライブするのはアタシです。多分!

いずれにせよ、なんとも嬉しい誕生日プレゼントでした。

これが、モナコで乗っていた BMW 130。このナンバー・プレート凄いでしょ! L for London, M for Monaco, T for Tetsu, I for Ikuzawa and 130 。



これが、奥さんから誕生日にサプライズでプレゼントされた BMW 130。愛知県から御殿場の道の駅に届けられました! 誕生日プレゼントを、道の駅の駐車場で受け取ると言うのは珍しいですよね。

その後、御殿場ワークショップに籠もりっぱなしで、アタシ達は朝から晩まで、毎日掃除していました。ちなみに愛知県で買ったのに、ちゃんと東京世田谷ナンバーで届けさせている! どうやって手配したんだろう。凄い!

ちなみにアタシ達の着ているオーバーオール、アタシがレース・ティームをやっていた時にダンロップさんより支給して頂いたものです。現在も愛用中!

1985年、鈴鹿。車両は IKUZAWA-TOYOTA 85C。

まずは、足回りから。

毎日毎日、朝から晩まで掃除していた結果、こんなに綺麗になりました。とても程度の良いクルマでしたが、それにしても10年前の中古とは思えないでしょ? この写真からアタシ達のクルマへの愛情、情熱、熱気、根気、真剣さ、思いやり、いたわりを感じてもらえると思います。

掃除している内に掃除の域をを超えて、クラッシック・カーのレストア状態! 悲惨な状態のディスク・プレートとキャリパーは、こんな風にしました。キャリパーは、BMW M Sport のブルーにペイント。

ディスク・プレートも、こんなに綺麗になりました。

モナコの BMW 130。

誕生日の BMW 130。

モナコと同じフロント両サイドのスポイラーをヤフオクで見つけて装着。

モナコの BMW 130。

誕生日の BMW 130。

モナコと同じようなリア・バンパー・ディフューザーも見つけて交換。

モナコのドイツ仕様の 130 は、 BBS 18 インチ。

日本仕様は 17 インチの、これ。
モナコのと同じホィールを探したのですが、日本では見つからず、取りあえずボディー・カラーのアルピン・ホワイトにペイントして我慢することに。それにしても、このホィールのデザインは、なんとも悲しい。ましてや 130 に 17 インチの、このホィールは、いくらなんでもないです。ダメです。これは言ってみれば、レクサス IS-F にカローラのホィールを装着しているようなものです。すいません忘れていました!このクルマ、10年以上も前のクルマでした!つい熱くなってしまいました!
 
BMW 130 は、スペア・タイヤを積んでいません。従ってランフラット・タイヤです。つまりパンクしても走り続けられるタイヤです。ランフラット・タイヤはご存知と思いますが、硬い、重い。アタシは、これが嫌いで、通常のタイヤを装着しました。それも走り屋さん用のタイヤではなく、乗り心地優先のダンロップの VEURO と言うタイヤをチョイス。水掃けも良いタイヤで、雨天時にも安心なタイヤです。しかも静か。
 
スペア・タイヤが搭載されていないので、緊急パンク修理キットと言うのを買い積みました。78年間のアタシの人生で使ったことがないので、役に立つのか、その時まで分かりません!
 
プレゼントされてから数ヶ月後、ようやく掃除完了。まるで新車のようになりました。後ろに見える13年間乗り続けたマツダ・アクセラは、お蔵入り。気のせいか、なにか寂しげ。 
 
ヤフオクで、こんなのを見つけたので、思わず買ってしまいました! 質屋流れの新品! 14,000円! BMW ファンでなくとも買いたくなるでしょ?
 
昨日まで、
 
BMW 130 は、この小さいボディーに自然吸気 3000cc 直列6気筒のエンジンを積んでいます。これが、このクルマの最もユニークで最も素晴らしいポイント。この直列6気筒のエンジンは実に静かで実にスムース。まるでロールス・ロイスのよう! でもアクセルを踏み込めばポルシェ並に走ります! メルセデス A45 には、さんざん乗りましたけど、アタシには、あまりにも過激すぎて1日乗ったらクタクタになります。でもこのクルマは速いクルマですけど全く疲れません。素晴らしいバランスのクルマです。このクルマ10年以上も前のクルマですよ!
 
この BMW 130 の、もう一つのユニークで素晴らしいポイントは、このカテゴリーで唯一のリア・ドライブだったこと。そうです「だった」。分かっていますか? フェラーリも、ランボルギーニも、ポルシェも、マクラーレンも、メルセデス S クラスも、ロータス・エランも、マツダ・ロードスターも、ホンダ S2000 も、ベントレーも、アストン・マーティンも、ブガッティも、ルノー・アルピーヌも、トヨタ 86 も、レクサス IS-F も、その全てがリア・ドライブです。
 
この BMW 1シリーズは、ゴルフ、A クラス、カローラ、マツダ3等を始めとして、世界中の主な自動車メーカーの、そのほぼ全てのメーカーが生産しているカテゴリーのクルマです。従って BMW 1シリーズは、激戦マーケットの中のクルマです。その中にあって唯一、そうです、数えきれない程の多くのモデルが世界中に溢れかえっている中、唯一、リア・ドライブだったのが、この BMW の1シリーズでした。 それ程にユニークで素晴らしい1シリーズを、BMW は最近、な、なんと、皆と同じフロント・ドライブのクルマにしてしまいました! そうすればフォルクス・ワーゲンのゴルフやメルセデスの A クラスに勝てるとでも思ったのでしょうか。まあ、大きなお世話のハナシですけど、それにしてもなー。なんとも残念です。
 
本日より。 マツダ・アクセラ、怒っているだろーなー。
 
1969年、ヨーロッパでのレース転戦の移動用のクルマとしてアタシが考えていた候補のクルマ、実は BMW、このクルマでした! でも、最終的に選んだのは Porsche 911 Targa 。「そのチョイスは全くもって正しかったようです」
 
以下からを、よーく読んで!
 
実は BMW とは、その後、かなりの関わりがあります。1974年からアタシが参加した富士グラン・チャンピオン・レース・シリーズ。 このクルマのエンジンは BMW です! クルマは GRD S74 BMW。
 
そして 1977年、アタシがチャンピオンになった時のエンジンは BMW でした。クルマは、GRD S74 BMW。つまり3年落ちのクルマでチャンピオンに!
 
チャンピオン記念のステッカー。
 
その時のクルマ、GRD S74 BMW、今でも持っています! 
 
1979年、i & i Racing Development と言う会社を設立して、中嶋 悟と高原 敬武の二人ドライバーを擁して、今度はティーム・オーナーとして富士グラン・チャンピオン・シリーズに参戦。ティーム結成初年度にして中嶋 悟が 1979年のシリーズ・チャンピオンに! この時の使用エンジンも BMW です。
 
クルマは GRD S74 BMW。なんと5年落ちののクルマでチャンピオンに!通常では、ありえませんよね。中嶋 悟、実によくやりました。5年落ちのクルマをチャンピオン・カーにしてしまうメカニック達も、実に良い仕事をしました。そして、それをマネージメントしたティーム・オーナーのアタシも!
 
チャンピオン記念のステッカー。
 
1979年、全日本 F2 選手権シリーズにも中嶋 悟と高原 敬武の二人ドライバーを参戦させています。ティーム結成初年度にも関わらず、全く異なるカテゴリーの2シリーズにエントリー。それぞれのカテゴリーに2台ずつ、一気に4台ものクルマを参戦させると言う、かなり無謀なチャレンジをしています。ティーム立ち上げ時、ワークショップは間借り、ハンマー1個からツールを揃えるとこから始めていますので、メカニック達は実によくやりました。この F2 シリーズも使用エンジンは BMW です。クルマは、MARCH 792 BMW。ドライバー中嶋 悟。
 
このクルマ、MARCH 792 BMW、 アタシもドライブしました。
 
会社設立から1年後、ようやく自分のワークショップを御殿場に持てました。
 
社名の i & i は、Ikuzawa と、会社設立時のパートナーの Itoh さん、ティーム結成時のメイン・スポンサーの伊太利屋さん、それ等のイニシャルから来ています。 伊藤さんはエンジン担当で、自社でエンジン開発、メンテナンスまでもやり、BMW Specialist を目指しました。つまり、日本の SCHNITZER、 ALPINA を目指しました。それにしてもエンジンまでも自分達でやったなんて、本当によくやったと思います。これが、その時の看板です。
 
こんなものまで用意していました。ウチでメンテナンス、チューン、オーバーホールした BMW のエンジンのカム・カバーに貼り付ける、約1mm 厚のアルミのプレートです。
 
そのエンジン、今でも大切にして持っています!
個人でも、ティームでも、BMW のエンジンでチャンピオンを獲得しています。つまり日本最高峰シリーズで、BMW をチャンピオン・エンジンにしたことになります。
 
でも BMW さんは、アタシ達の成果に対しては全くの無関心、全くの無視です! 儀礼的な「おめでとう御座います」の一言すら頂けませんでした! アタシは多くの自動車メーカーさん達とは親しい交流があり懇意にして頂いていますが、これは全く意外でした。 勿論 BMW さんがアタシに興味を持とうが持つまいが、無視しようがしまいが、交流しようがしまいが、そのチョイスは全くもって先方さんの自由であって、アタシがとやかく言うのは全くの筋違いです。全く分かっています。でも悲しいですよね。な、なんで、そこまで無視するのかと!   BMW「も」好きなクルマなんですけどねー。まあ、片思いだったと言うことです。 「1969年、BMW を選ばなくて良かったでしょー!」
 
モーターサイクルも、ちゃんと BMW を持っています! なのになー。
 
速報! アタシがホィールにガックリしているのを見るに見かねて、 RAYS さんが、この BMW 130 用のホィールを試作部門でアタシの為に特別に製作してくれて、送ってきてくれました! BMW に詳しい人は分かっていますが、130 のホィール・サイズは特殊で、市販のホィールでピッタリ・サイズは有りません。つまり18インチ・サイズのタイヤを、姑息なことをせずに正確に装着したい場合は、BMW の純正ホィールを買うしか他にありません。
 
クリスマス前に届いたと言うことは、正にサプライズ・クリスマス・プレゼントです! 心から嬉しいです。 RAYS さん、ありがとー。
 
これが、そのホィール。素晴らしい出来!クオリティーに驚嘆!脱帽!
 
なんと言っても、このホィールの凄いのは、その重量。 BMW 130 のオプションの純正 18インチ・ホィールの重量は、フロント 12.50kg、リア12.35kg 。 RAYS のホィールの重量は、フロント 8.35kg、リア 8.75kg! これは靴に例えると BMW 純正ホィールは、登山シューズで、RAYS 製ホィールは、陸上競技用のランニング・シューズ。それ程の違いです。ですので、このクルマが、どれ程足元が軽やかになったかは、素人がそこら辺をちょこっと乗っただけでも分かる程の違いです。僅か数グラムを軽くする為に、こんなとこに縦穴を空けてまでして重量を攻めています。RAYS は、この縦穴を空ける為だけを目的に、大変に高価な特殊工作機械まで導入しています。 凄い拘りです! それにしても F-1 のホィールでもない、アタシの10年落ちの中古車の為に、わざわざ試作部門で、こんな凄いスペックのホィールを創ってしまうなんて、その心意気がなんとも素晴らしい! 
 
良きクリスマスと、良き年を迎えて下さい!
 
続報:2021年4月20日。
 
いつもお世話になっているベロフさんのラボに持ち込んで、イカ・リングを超明るい LED に交換してもらいました。フォグ・ランプも超明るい LED に交換。そして両方共常時点灯、デイ・ライト化してもらいました。このクルマの発売当時は、まだデイ・ライトの無い時代でしたので、今の時代に合わせてもらいました。
 
色々自分達で整備したので、ちゃんと BMW のディーラーでチェックして貰おうとしたのですが、BMW とのコネクションが無いので、どこかディーラーを紹介して貰えないかと、某有名モーター・ジャーナリストに BMW ジャパンを紹介して貰ったのですが、ディーラーの紹介すらもしてもらえませんでした! そこで、どうしたもんかと考えて、メルセデス・ベンツ・ジャパンの知り合いに相談したところ、なんと紹介してくれました! 東京の自宅から20分、ウチの厚木アトリエとの中間にある、とても行きやすいとこを探してくれました。BMW 東名横浜本店です。
 
はい、紹介してくれて段取りをしてくれたのはメルセデス・ベンツ・ジャパンです! しかもメルセデス・ベンツ・ジャパンの執行役員が、わざわざ手土産までを持って “BMW の” ディーラーへ挨拶にまで行ってくれたと報告がありました! もう信じられませんよね、この違い。メルセデス・ベンツ・ジャパンの心の広さをつくづく感じさせる出来事でした。
 
BMW 東名横浜へ整備が終わり受け取りに行った時。素晴らしい対応をしてもらいました! この写真の左手側が BMW のショールームになります。
かつて t i と言うモデルがあったのですが、最近、その t i が復活しました。
そこで、中国製のこの超安価パーツで t i 風に! それにしても、このクルマ、乗れば乗る程その素晴らしさに感嘆します。このクルマ、10年前のクルマですよ!